前回ライブのお手伝いをするためにドラムを叩く必要が生じて、その練習のためにRolandのV-Drumsを購入した件を書きましたが、結局練習用だけでなく、ライブ本番も電子ドラムでやることになったため、それなりの周辺機器を揃えることになりました。当初購入したV-DrumsのキットはTD-9KX-Sというセットで、シンバル2枚、タム3枚、ハイハット用パッド1枚、キック用パッドという構成でした。発売されてからもう10数年経っているモデルということで、ヤフオク!でも5万円程度での購入が可能でした。当初購入したベーシックな形は下の写真のようなものでした。

Roland TD-9KX-Sキット

このキットの音源はTD-9でしたが、ヤフオク!で購入する際に、実際各メーカーの電子ドラム音源はどんな音の傾向があるんだろうかと、楽器屋さんのドラム売り場に行ってみて、各メーカーの代表的な機種を叩かせてもらいました。当然TD-9自体はディスコンになっている機種ですので、店頭にはありませんでしたが、Rolandの他の機種を叩いてみて、ヤマハ、アレシス等の他メーカーの電子ドラムとの比較で一番しっくりきましたので、RolandのV-Drumsを購入しようということにしました。その時に折りたたみできるTD-1KPX2を薦められたのですが、確かに折りたたんで持ち運びできるのは魅力ですし、家の中でしまっておくのにも場所を取らないので悩むところでしたが、特殊なラック構造のため、アップグレードが出来ないことを考慮してTD-9の方にすることにしました。

TD-9の音源モジュール

このTD-9を購入した時はファームウェアがVer. 1のままでしたので、キット・メモリも50キットまでとなっており、しかもユーザー・キットをメモリ出来る領域が1つしかありませんでした。最初のライブの際に演奏する予定だった曲がバラードあり、レゲエっぽい曲あり、ラテンぽい曲ありということで、ある程度音色を使い分ける必要があったため、ファームウェアをVer.2にアップデートしました。Ver.2はキット・メモリが100に拡張され、ユーザー・メモリも10確保されていますので、十分と言えるでしょう。このように曲によって音色を使い分けることが出来るのも、電子ドラムならではと言えます。ただTD-9にはUSB端子がありますが、これはUSBメモリを接続するための端子で、直接パソコンのUSB端子と接続することはできません。ファーム・アップデートも一度ファームウェアをUSBメモリにコピーしてUSBメモリからファームアップするという手続きが必要になります。TD-9で使用可能なUSBメモリは既にRolandでも販売していないようなので、一般的に販売されているUSBメモリで余り容量の大きくないものを選んでフォーマットしてあげれば使用上は問題ないようです。最近は逆に容量の少ないメモリの方が入手が難しくなってきていますが、4GB程度のUSBメモリであれば、未だ入手可能だと思いますのでそのあたりを使うのが無難かと思われます。実際に何GBまでのUSBメモリが使用可能かのテストはしていませんが、容量の多いUSBメモリを使用すると動作が遅くなることがあるのと、TD-9側で認識できるファイル数の制約があるようなので、あまり大きいサイズのUSBメモリは使用しない方がよさそうです。私はUSBメモリに楽曲のWAVデータを入れておいて、それを再生しながら練習をしていました。TD-9では再生できるデータはWAVのみで、MP3等には対応していません。ライブでカバー曲をやるのに、オリジナルをiTunes等で1曲だけ購入してそれに合わせて練習しようとすると、大抵MP3なのでそれをWAVにアップ・コンバートしてあげなければならない、というのはちょっと面倒でした。その後発売された上位機種ではMP3も再生可能になっていますので、その辺りも音源アップ・グレードの要因でした。

TD-10 w_TDW-1

ライブをやる時に、キックとスネアをパラでPAに送れた方がいいだろうなということは昨年のライブの時から考えていましたが、ライブ後パラ・アウトの可能な音源へのアップグレードを検討しました。そこでヤフオク!やメルカリで探したところ、TD-9よりも一つ番号の大きいTD-10が1~2万円くらいで入手できることが分かりました。実際にはTD-10は1997年頃から発売されていて、TD-9よりも古い機種なのですが、TD-9KX-Sのパッド類はそのまま使えるので、Vシンバルの使える拡張ボードTDW-1を搭載した実機を探して購入することにしました。私の購入した個体はTDW-1拡張ボードは搭載されていましたが、拡張されたTD-10はExpandedシールが通常貼られているのですが、それの貼ってない個体だったので、ノーマル・バージョンのTD-10に後からTDW-1を拡張したものと思われます。

TD-10のリア端子
TD-10のリア端子群

このTD-10ですが、見た目はRolandの往年のドラム・マシンR-8を少し小型にしたようなルックスで、表面の梨地加工もR-8を思わせます。私も前職のディレクター時代にはスタジオ・ワークでR-8を愛用していて、ドンカマは殆どR-8のカウベルだったこともあって、何か懐かしい雰囲気を漂わせています。昨年ライブをやった時に打ち込みパーカッションと同期させて演奏する曲でまたR-8を引っ張り出してきて使ったので、全然使っていなかったわけではないですし、今でも自宅録音の時のドンカマはR-8Mを使っていますので、このルックスは安心感がありますね。このTD-10の上位機種でTD-20という機種があって、このTD-10より一回り大きくなって機能もかなり増えているのですが、中古としてヤフオク!などに出ている個体の大半が液晶に問題を抱えていて、液晶が故障していないものを探すのが困難でした。液晶の修理自体はRolandのサービスで15,000円程度でできるようなのですが、今回はTD-10を組み込んだキットを組んでみることにしました。

TD-10アウトプット・アサイン
TD-10のアウトプット・アサイン画面。各Direct Outはステレオになっています。

さて、TDW-1を搭載したTD-10はローランドのVシンバル(CY-15R、CY-14C、CY-12H)に対応しているほか、新たな音色360種類を搭載し、ドラム・キットも50種類増えています。またパネル上のフェーダーでタムとシンバルの音量を独立して調節可能になったり、内蔵コンプレッサーの改良、インスト・グループ選択機能の追加などの改良が加えられています。私がTD-10を購入した一番大きな目的であるインストゥルメントのパラ・アウトに関していうと、上のリア端子群の写真でDIRECT 1,2,3という端子が見えると思いますが、これらがグローバル設定できるようになったのが大きな変更点でしょうか。ノーマルなTD-10ではアウトプットの選択はキット毎に行うようになっていましたが、TDW-1でアップグレードしたTD-10では、全キット共通のアウトプット・アサインを記憶しておけるようになったため、キット毎にいちいちアサインする必要がなくなり、ライブでPAにキックとスネアのみパラで送るなどという場合に便利になりました。パラで出力するためのDIRECT OUTはステレオ出力が3系統になっており、CONTROL ROOM画面から設定します。上の画面ではKickをDIRECT 1、SnareをDIRECT 2にアサインしていますが、これだとキックとスネアがそれぞれステレオ・アウトされることになります。両方ともDIRECT 1にアサインして、キックをL ch側に、スネアをR ch側に振り切ったパン設定をしてやれば、モノ・アウトでの出力も可能です。これはパラ・アウトする必要のあるインストゥルメントが幾つあるかによって設定してあげればいいでしょう。

このように、次回ライブでドラムをまた叩かなくてはならなくなった時のために準備をしてきましたが、コロナ禍のおかげで全くライブの予定はなくなり、電子ドラムも倉庫に眠ったままになっていました。しかしサッカー関係の予定もほぼなくなったため、運動不足解消にドラムでも叩こうということで、再度倉庫から出してセッティングし、練習していくうちに、ハイハットが1枚パッドであることの不便さを感じるようになり、上位機種のVH-12やVH-13といった2枚パッドのハイハットに食指が動いたのでした。しかし、TD-10ではアップグレードしてもCY-12HとFD-7(ハイハット・コントローラ)の組み合わせで使用するのまでが機能的に可能な組み合わせのようで、VH-12は使用不可のようでした。このあたりはヤフオク等で購入するときの情報としては得られていなかったので、実際にTD-10を入手してマニュアルを読んで分かったことでした。シンバル・パッド自体は少しずつアップ・グレードしていっていたので、CY-15RやCY-14Cをこれまたメルカリで安く仕入れ、Vシンバル化していったのですが、ハイハットをさてどうしようということで、行き詰ったのでした。それと、このTD-10のリアパネルを見ていただくと分かりますが、外部コンピュータからのコントロールが可能な端子はMIDIしかありません。MIDIインプリメンテーションのデータとして送ってあげればコントロールは可能ですが、少々面倒です。発売が1997年ということなので、USBが普及する前ですから無理もありません。またカードスロットは装備されていますが、使えるカードはD-50やR-8などのローランドのシンセサイザーやドラムマシンで使用されていたM-512Eのみで、これも現在は入手困難なので、ヤフオク!などで探すか、中古楽器屋さんをマメに回るかして探すしかありません。TD-20とかだとコンパクト・フラッシュが使えますので、カードの入手自体ははるかに楽ですが…。そんなこんなで音源をアップグレードしてやろうと思っていたことのうち、TD-10で出来たのはパラ・アウトのみになってしまいました。まぁTD-9よりも古い機種(発売当時の最上位機種ではありましたが)なので、やむを得ない部分もありますが、これをさらにアップグレードしようかどうかというところで思慮していたのでした。さてこの後のお話は長くなってきたのと、未だアップグレードは道半ばということもあるので、別項に譲ることにして、今日はここまでにしておきましょう。ではまた。

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