以前当スタジオでもNative Instruments社のKompleteを使用していることは書いたことがありますが、その中で一番使用頻度が高く、他社(サードパーティー)音源も含めて使っていた Native Instruments Kontakt が昨年来、どうも不調だというお話です。このところ結構ギター物の曲を録音することが多くて、サンプリング音源の使用頻度が下がっていたこともあって、Kontaktもオルガン系などでしか使っていませんでした。ドラムは大体FX PansionのBFDシリーズかTOONTRACKのEZ DrummerかSuperior Drummerだし、ピアノ系はSynthogy Ivory IIが多いし、ということで出番が減っていたわけですが、昨年Macのシステムをアップグレードしてから、どうもインストールしてあったはずの音源がKontaktのブラウザに出てこないなというのが気になっていました。ただその音源を使用する機会もこのところなかったので、特に確認を急ぐ必要もなく、つい先延ばしにしていましたが、次に作ろうと思っている楽曲でサードパーティーの音源を使いたい曲があって、その音源がどうして表示されないのかを確認することにしました。そうしたところ、いくつかの原因が浮かび上がってきましたので、書き留めておくことにしました。
まず上のスクリーンショットを見て頂くと、Berlin Concert GrandとかNew York Concert Grandといったピアノ系音源が赤い三角が出てロードされなくなっていました。以前はちゃんとこれらの音源もKontakt 5でロード出来ていたのですが、元々これらの音源はKontakt 3時代からの音源で、Komplete 8を購入した時にバンドルされていた音源でした。なのでサンプル・ファイルとしてはKomplete 8のフォルダの中にあるはずなのですが、それを探しても見つからないんですね。Native Instruments社製品のインストールやアクティベーションに使うアプリがNative Accessというアプリに変わったことはKomplete 11を紹介した時にも書きましたが、これらの音源はNative Access上では”Repairが必要”として表示されています。本来Repairが必要な音源は下図に示すように、”REPAIR”をクリックするとREINSTALLかRELOCATEを選べるはずなのですが、今回は[RELOCATE]しか選択できず、サンプル・ファイルが行方不明になっている状況下ではリペアすることが出来ませんでした。
その原因はこれらのピアノ音源が現行のバージョンではなく、既にディスコンになっている製品のためでした。Native Accessではディスコンになった製品は抹殺するという仕様のようで、リインストールして使い続けるということはNative Access上では出来ません。ただこれらレガシー製品の個別インストーラーはNative Instrumentsのサーバー上に残っていて、それをダウンロードすることで、Berlin Concert GrandとNew York Concert Grand、Upright Pianoについては復活することが出来ました。しかし、Vienna Concert Grandについてはダウンロードしたインストーラーではインストールできず、結局復活できませんでした。それと初期のころにインストールしたAbbey Road 60s DrumsなどのAbbey Roadシリーズのドラム音源も表示されなくなっていましたが、これはAbbey Road シリーズが60s DrummerなどのDrummerシリーズにアップグレードされたためで、Drummerシリーズをインストールしてあげればライブラリ・リストにちゃんと表示されます。名称が微妙に変わっているので、既にインストールしてある音源だと思っていたら違ったというオチでした。
Native Instrumentsは自社のレガシー製品の利用も新しいNative Access上では切り捨てていますが、サード・パーティー製の製品についてはもっとドラスティックに切り捨てています。上のスクリーンショットではたまたま新しいNative Accessでもちゃんと認識されているサード・パーティー製品が並んでいますが、Sample ModelingのThe TrumpetやThe Tromboneといった製品は新しいNative Accessのシステムでもちゃんとアクティベーションが活きているようですが、SOUNDIRON製品はOLYMPUS以外は全滅状態でKontaktのライブラリ・リストからも消えてしまいました。私のライブラリにはVoice of GaiaやVoice of Raptureなどのボイス系音源があるのですが、これらの製品はNative Accessでは認識されず、ライブラリ・メニューにも表示されません。ただ全く使えないわけではなく、ファイル・システムからインポートしてあげることで使用可能になります。しかしいちいちファイル・システムから読み込まないといけないのはちょっと面倒ですね。それともうひとつ、Sonic RealityのInfinite Playerを使ったライブラリ”Drum Masters”シリーズもNative Accessでは認識されなくなってしまいました。こちらはどうやったら使えるようになるのか、現在研究中です。Sonic Reality社のホームページでもこのシリーズはInfinite Playerを既に持っている人しか買えなくなっています。ちょっとこれの解明にはもう少し時間がかかりそうなので、出来たところで報告したいと思います。
追記ですが、このブログをアップ後、Infinite Playerの音源で行方不明になっていたものが、未だダウンロードフォルダの中にインストーラーとかといっしょに残っているのを発見し、改めて別ハードディスクにコピーしなおしてファイル・システムから無理やり読むこむようにしたところ、無事読み込むことが出来ました。しかしこれだとInfinte Player経由せずに直接Kontaktが読んでることになるんではなかろうかと思われ、未だ分からないところがあります。しかし、ひとまずはこの方法で音源は使えるということが判明しましたので、次に作る予定の曲には無事使えそうです。
さらに追記ですが、Digital Performer 9.5でKontakt 5を音源としてシーケンスさせるとDigital Performerがハングアップするという現象が頻発するようになってしまいました。こちらも原因が不明なのですが、単純にデジパフォとKontaktが相性が悪いということでしょうか…。とりあえず近々デジパフォを10にバージョンアップしてみようかと思っています。