前回Native Instruments Kontakt 5 でサードパーティー製音源がロードできなくなった件を書きましたが、何とかロードすることができたSonic Reality社の Infinite Player の音源をDigital Performer 9.5を使ってシーケンスさせてみたら、ハングアップが続発したということで、その解決策を考えてみることにしました。この辺の音源は2000年代初期のサンプル音源なので、最近のKontaktや、そもそも最近のOSへの対応がどうなのか、という問題も出てくるのではないかと思われます。しかしSonic Reality社のホームページではその辺の情報は出ていなかったので、Kontakt側の問題ということも当然考えられるわけで、いろいろ試してみることにしました。

そもそも Infinite Player とはどういうものなのか、ということについてですが、メーカーのSonic Reality社の説明によると、「Infinite Playerは、Native InstrumentsのフリーのKontakt PlayerでSonic Realityライブラリを使用するための“ゲートウェイ”です。Kontakt Playerは、単純にKontaktライブラリを再生するのではなく、登録されてアクティベートされているされているInfinitePlayerなどの特定のライブラリでなければ再生できないことに注意してください。このシステムを使用すると、Kontaktのフルバージョンを購入する必要がなくなり、必要なサウンドライブラリに直接アクセスできます。もちろん、Kontaktのフルバージョンをお持ちの場合は、Infinite Playerもその中で動作します。Free Kontakt PlayerまたはFull Kontaktのいずれのプラットフォームでも、Infinite Playerを登録して、ライブラリを自由に追加できます。」ということで、フリーのKontakt Playerでもそのライブラリが正当に購入されてアクティベートされていることを証明する機能をInfinite Playerに持たせているということのようです。そしてこのInfinite Player自体が既にディスコンになっており、現在は販売されていないということですので、おそらくはNative Instrumentsのアクティベーション・システムがNative Accessに変更になったことに伴い、Native Access側でInfinite Playerを認証することが出来なくなったものと思われます。ただ既にInfinite Playerを購入してアクティベーションが済んでいるユーザーは、そのInfinite Playerを使っている限りはInfinite Playerのライブラリを使用することができるということで、ライブラリの販売は未だ続けているということのようです。

Infinite Player
Infinite PlayerのDrum Master2シリーズの一部

私がこのInfinte Playerにこだわっているのは、そのラインナップの中に”Drum Masters”シリーズというのがあって、実においしいドラム音源がいくつかあるからです。元々Sonic Reality社は音源ソフトのメーカーとして、例えばIK Multimedia社のSampleTankシリーズやSonikSynth 2などの音源の制作をして提供をしていたり、FXPansion社のBFDシリーズの音源制作をしたりしていて、音源ソフトの制作については実績のある会社ですが、自社では音源ソフトのフォーマット(つまりは箱ですね)を作ることはしていなくて、他社の作ったフォーマット(KontaktとかBFDとかSampleTankとか)に対して音源(つまり中身)を提供するというスタンスで音源ソフトをリリースしています。そういったソフト会社のプリ・インストール音源の制作などを通してノウハウを蓄積していった会社と言えると思います。Sonic Reality社がInfinite Playerのライブラリとしてリリースしている製品の中には、例えばピンク・フロイドのNick Masonのトラム・キットとか、ラッシュのNeal Peartのドラム・キットなどもリリースされていますが、こちらはBFD 2/3のフォーマットでもリリースされており、そちらの方が使い勝手がいいので、私もBFDフォーマットの方を購入しました。しかし上の写真にあるビル・ブルーフォードの音源やスティーヴ・ガッドの音源などはこのInfinite Playerフォーマットでしかリリースされていないため、これが使えなくなるとちょっと痛いことになってしまうのです。一番左はビル・ブルーフォードの音源をFile Systemからロードした状態ですが、音源自体は無事ロードできましたが、左側のライブラリ・コラムの一番下にInfinite Playerの表示があるものの、ここにはInfinite Foundation Pianoのみしか表示されず、ピアノ音源しか読み込めなくなっています。しかし音源自体はMIDIシーケンス・ソフトでシーケンスできますので、使用上は問題なさそうに見えます。Infinite Playerを経由せずに読み込んでいますので、ソフトウェアのアクティベーションという面では不安が残るものの、既に一度アクティベーションを行ったマシンでは問題なく使えるということのようです。

以前紹介したMusicTrackにアップロードした”Red”の音源ではこのIntinite Player Drum Mastersシリーズのビル・ブルーフォードの音源ではなく、BFD2のJazz & FunkキットからLudwigのキットでスネアのピッチの高いものを選んで使いましたが、今録音しようとしている楽曲でどうしてもビル・ブルーフォードのキットを使いたいものがあるため、このキットを安定的に動作させるのはどうしたらいいのかを考えてみました。というのも何とか読み込ませることに成功したものの、シーケンスさせるとDigital Performerがハングアップするという現象が続けて起きたからです。ということでマニュアルを再確認するところから出発(^_^;)>。マニュアルによればシステム要件はMac OS 10.4以降でG4 1.4GHz以上、RAMは2GB以上で動作するとのことなので問題は無いでしょう。但しこれは当時のKontakt Player 2の仕様だった可能性もあるのであまりあてにはなりません。それとInfinite Playerライブラリのインストール先はMac OSの場合、Kontakt側でパスを指定できるため、特にどこにインストールしなければならないということは無いようです。(Windows VISTAや7などではDocumentフォルダでないとダメという制約があったようですが)

Infinite Player Installed Folder

ただInfinite Playerの音源ライブラリのファイルはZip圧縮された状態でInfinite Library Installerアプリケーションにドロップする必要があります。インストール自体はこのマニュアル通りにやっていますので特に問題は無いはずです。で、私のiMacでのインストール先を見てみると、Infinite Playerフォルダのインストール先は起動ディスクのユーザ>共有フォルダの中にありました。ライブラリは起動HDにインストールするのは動作上問題があるだろうとのことで外付けハードディスクの2TB G-Driveを指定してインストールするようにしましたので、動作的にアプリケーションの動作と、音源ライブラリ側の読み込み、Digital Performerの録音したファイルの再生のバッティングはないものと思われます。アプリケーションは内蔵ドライブから起動し、録音先はLaCieの1TB FireWire 800接続の外付けHDD、音源はG-Driveの2TB外付けFireWire 800ドライブとなっています。ハードディスクを分散することでPCの作業量の負荷を分散するようにしていたつもりなのですが、年明けくらいからKontaktの音源の演奏だけでなくいくつかの不具合が散見されるようになってきていたので、その辺りも含めて検証してみることにしました。一番大きな不具合は、サブのディスプレイとして昨年から使用し始めたThunderbolt Displayが時々ブラックアウトするということですね。

iMacに繋がっているハードディスク。この裏側にもう一台LaCieの3TBがあります。

昨年2ndディスプレイをそれまでの20インチCinema Displayから27インチThunderbolt Displayに交換して、表示できる範囲が大きくなってプラグインも多く表示しておけるようになったので、使い勝手は非常に良くなったのですが、それだけiMacの外部端子に接続されている機器が増え、今ではハードディスクだけでも上の写真のように6台が繋がっています。現在使っている27インチiMac Mid 2011はクアッドコアi7搭載で、RAMも32MBまで増設していますので、音楽制作用としては基本性能的には余裕があると思うのですが、外部接続用のインターフェイスがThunderbolt×2、USB2.0×2、FireWire (IEEE1394)×1、Giba Bit Ethernet×1なので、USBポートにはMIDIインターフェイスやドングル類、コントロールサーフェスなどを繋ぐようにして、ハードディスクなど転送速度の必要な機器はFireWireポートか、Thunderboltポートに接続したAkitio Thunder Dock経由でFireWireやUSB3.0またはeSATAに変換して接続するというようにしていましたが、このThunderboltも初期の1.0なので、かなり無理があるようです。

そこでマニュアルを見ながらKontakt側の設定で何か関連しそうなところはないかを探してみました。マニュアルには”Kontakt Player 2 Optimization”という項目があり、Kontakt側の設定箇所が記載されています。それによるとOption設定の中に”DFD”タブがあり、それをクリックしてDFDの設定をしろと書いてありますが、何しろKontakt 2当時の設定なので、Kontakt 5ではDFDタブそのものがありません。DFDとはDirect From Diskの略で、Kontaktが直接ディスクからサンプルを読み込んでそれを再生し、RAMのメモリを節約するという機能です。Kontakt 5にはこの設定をするページはありませんが、マニュアルの記載からするとこの機能に割り当てるバッファのサイズとサンプルをいくつまでホールドしておくかの設定をするページだったようですので、Kontakt 5 では”Memory”タブに同様な設定がありました。ただ既にDFDストリーミング機能の調節をするページではなく、Kontakt Memory Serverという新しい機能に置き換わっており、それを選択し、バッファ・サイズをとりあえず126KBに設定しておきました。(小さい!)

今回はDP9.5が落ちることなく録音完了

Kontakt側の設定を変更したうえで、ハードウェア側の接続も再確認。iMacのThunderbolt端子には、オーディオ・インターフェイスのApolloとその先にUAD-2 Satellite Octoが2台、UAD-2 Satellite Duo(Firewire)が1台繋がっており、もう1系統のThunderbolt端子にはAkitio Thunder Dockを経由してFireWire 800の外付けHDD、eSATAの外付けHDD、USB3.0接続の外付けHDD、それにThunderbolt Displayが繋がっています。特にAkitio Thunder Dockを経由している装置の動作が不安定になっているようで、時々ハードディスクドライブ自体が認識されなくなる現象も発生していました。アクティビティ・モニタでCPUの負荷を見てみると、Thunderbolt Displayが接続されていない状態では、起動後にシステムとバックグラウンドで動作しているアプリケーションが立ち上がっている状態でCPUの使用状況は5%程度なのに対して、Thunderbolt Displayが接続された状態では最大20%までCPUが使用される状態になっていることが判明しました。とりあえずその楽曲の録音では使わない音源が載っているハードディスクなどの接続機器を適度にオフっておくと、問題なくDigital PerformerでKontaktが落ちることなく動作してくれました。Kontaktのようなサンプリング音源を利用するソフトはストリーミングしながら読み込む動作をするので、シーケンス中にもサンプルのロードをするため、負荷が高くなるのと、Thunderbolt Display自体に描画させるのにある程度CPUパワーを使っているということのようです。Thunderbolt Dockの相性問題などもあるかもしれません。当スタジオにはAkitio Thunder DockがiMac用とMac Mini用の2台ありますが、これを入れ替えても変わりませんでした。もう1台MacBook Pro用に購入したRocketStrのThuderbolt Dockがあるのですが、こちらだとThunderboltからUSB3.0とeSATAへの変換(+Ethernet)しかできないためテストしていませんでしたが、FireWireドライブは本体のFireWire 800ポートからディジーチェーンするようにしたので、試してみたところ、かなり安定して動作するようになった気がします。心なしか、Thunderbolt Displayの表示が明るくなった気もしますし。ソフトウェア的な設定で何とかクリアしたいと思っていたDigital Performerのハングアップの解消ですが、思わぬところでハードウェア的なエラーが発見され、最終的にはメインマシンをiMacからMacPro 2013に置き換えることにしました。これならThunderbolt 2.0ポートが6個あるので大丈夫でしょう。ついでに外付けHDDドライブも容量の大きなものにある程度纏めようと思っています。しかしThunderbolt接続のドライブは結構高いので、そちらもヤフオクで物色中です(笑)。

iMac HDD
iMacに接続された外付けHDD

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